児童生徒の留年制度  2000.9.2
 二ヶ月以上に及ぶ、アメリカの長い夏休みも、もうじき終わり、九月に入るといよいよ新しい学年が始まります。夏休みの宿題の無い、カリフォルニアの児童生徒は、長い休みを遊び呆けているのが常でしたが、今年の夏休みの、カリフォルニアの児童生徒の過ごし方が違ってきました。
 それというのも、1999年カリフォルニア州では、「児童生徒の進級と留年制度」と呼ばれる、留年制度の法律ができ、児童生徒が夏休みを、サマースクールに専念するようになったからです。

 カリフォルニア州では、公立学校の児童生徒の、学力の向上を図る目的から、学年相当の学力を持っていない生徒や、落こちぼれの生徒も含めて、新学年の始まる、9月の学年進級時に、学年相当の能力の無い児童生徒に、留年をさせる法律が制定されたためです。この法律制定に関しては、
『カリフォルニア便り』最新カリフォルニア教育情報〜基礎学力〜 1999.2.11
にも書きましたが、実施初年目の,今年9月の新学期を迎え、現場の留年事情も深刻なようです。

 留年対象学年は、小学校二年生から中学三年までとされ、学校区によっては、幼稚園からのところも有るといいます。学力の判定基準は、毎年SAT9というカリフォルニア州が、全ての公立学校に同時に行う、英語、算数の統一実力試験が目安とされ、最終的留年の有無は、補習授業やサマースクールの成績の結果で決められます。そんな訳で今年のサマースクールの出席率は、昨年の三倍にもなり、生徒の学習態度にも大きな変化が見られるとのことです。

 カリフォルニアは他州と比べ、近年、韓国や香港などからの、移民の流入が増し、またメキシコ国境に隣接しているために、ヒスパニック系の人々の流入も目立ち、これらの移民の子弟の英語力が充分でないために、これらの児童生徒の留年判定が、深刻な問題となっております。また日本企業からの派遣駐在員として、英語力の無い子弟を伴って、渡米する人にとっても、この新しい留年制度の影響は大きい問題です。この留年回避対策として、学校区独自で補習授業やサマースクールを開いて、留年をさせない努力をしていますが、ある学校区では留年予想数が、生徒総数の5%にもなるであろうとの学校区もあり、学校区間の格差も目立っております。 

 一昨年、連邦政府が全米の小学校を、十八人クラス定員制と少数化を実施しましたが、カリフォルニア州では、それ以前の3年前よりいち早く十八人少数定員制を実地しています。アメリカには随分以前から、成績が優秀で、かつ知能指数が一定よりも、ずば抜けて高い児童生徒には、“スキップ制度”という優秀な児童を伸ばすプログラムで、学年『飛び級制度』が小学校から有ります。いまカリフォルニアでは、まったくその反対の制度の、『留年制度』を取り入れ、教育改革に向けて、強力に推し進めているのが伺えます。

 さて、この飛び級制度と留年制度を、日本の学校環境に導入したら・・・・、と考えてみました。きっと、たちまちのうちに、児童生徒に与える差別行為と、父母や教師の大きな反対の声が、上がることでしょう。それだけに、これらの法制定を決断する、アメリカの社会体制が、大変シビアなことが伺えると思います。 アメリカと言う国は、自由の国でありながら、甘えさせない大変厳しい両面を、持ち合わせている国といえましょう。

 


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