| クリントン大統領と元実習生モニカ・ルインスキーとの関係がイブリ出された1998年1月以来、メディアは大統領のソープドラマ(アメリカでは昼の不倫連続ドラマをこう呼びます)の筋書きを聞いているような報道の毎日で、私のミーハー熱も、盛り上がったものでした。 1999年1月からは、連邦大陪審に対し、宣誓証言の虚偽を犯したと、スター独立検察官の、一度噛み付いたら離さない、そのシブトサには感服させられたが、1ヶ月半もの延々と続いた大統領の弾劾裁判は、2月12日に大統領の無罪が確定し、やっと米国史上二回目の大統領弾劾裁判も、幕となりました。この一連のモニカがらみの騒ぎには、いい加減に国民も疲れ果てており、その、議会議員の弾劾裁判に費いやされた、時間と経費は、膨大なもので、国民はモニカ・ルインスキーの名を聞くだけで、いささか拒否反応を示してもおりました。 3日に、そのインタビューの切り口の鋭さでは定評のある、バーバラ・ワルターの持っている、全米向け番組『20/20』に、モニカ・ルインスキーの独占インタビューがあるとの事で、他局までもがこぞって放映日前から、モニカの名のMを取り、3日のM Dayが楽しみだ、などと比喩しておりました。 O Jシンプソン裁判、ダイアナ妃の葬儀放映についで、モニカ・ルインスキーのインタビューの視聴率は7000万人以上を記録し、これは単独インタビューでは記録的視聴率で、モニカの名を聞くだけで、いやな顔をするアメリカ人も、野次馬根性を出したようで、全米の成人の半分が見ていた計算になります。また、放映直後から翌朝までのABC局には、E‐Mailが6000通も来たとの事です。 この国の歴史を日々創り出している、ホワイトハウスという、国民にとっては崇高であるはずの場所である、ホワイトハウスの執務室廊下で、ポルノ映画まがいの行為が、どのような経過で、どのようにくり広げられたかの筋書を、このうら若き娘は臆面も無く、話していました。 1995年11月のホワイトハウスのパーティーに実習生として出席したモ二カ・ルインスキーと大統領との、眼と眼が合ったばっかりに、そのポルノ映画まがいのストーリーは始まりました。仕事に疲れた初老の男が刺激を求めて、自分の娘の年にも近いサカリのついた猫のような、思考的にも未熟な22歳の小娘との、二年近くにおよぶ火遊びの、まことに陳腐なストーリーです。彼女のインタビューを聞いておりますと、渋谷あたりで平気で援助交際をする、十代の未熟な女性の精神年齢と似たような印象を、モ二カ・ルインスキーに感じました。このような小娘を相手に、火遊びをした一国の大統領の、その人格に対する倫理的な国民感情は、大統領支持率が相当に減点されたと、放映後のリサーチ結果を昨日発表しておりましたが、昨日のニューヨーク株は、うなぎ登りの記録で、倫理的には大統領を許せなくても、大統領の不人気は、アメリカ経済までは、おびやかさなかったようです。 私が感心したのは、モニカ・ルインスキーのインタビュー時のその姿でした。日本の同世代の娘には絶対にできないであろう、堂々とした応答態度には、私もただただ感服しました。この2時間の全米放送の30秒のコマーシャルは、私が数えただけでも、30社以上ありましたが、余りの多さに最後は数えるのを止めたくらいです。コマーシャルの30秒スポットを合計すると、30分近くもコマーシャルに裂いたようですが、一説にはABC局は、このインタビューで2000万ドルは稼いだであろうと言われとおります。 翌日の4日には、ダイアナ妃の自伝を書いた、イギリス人作家による『モニカの物語』なる、大統領との関係の暴露的本が1冊24ドル95セントで書店に並びました。物好きな人は買っておりますが、テレビだけでもう沢山と言うのが大方の人ですから、売れ行きは販売初日ほどは、伸びはないであろうとの予想です。今日はイギリスのテレビ対談にも出演しているようで、朝の出勤途中のラジオではその内容は「テレビジョン・バイヤグラ」などとイギリスでは評されているようです。 我々の税金で動いている国の議会を、スキャンダルで妨害した事からも、テレビの前で自分の身も心もサラシモノにして語たるのは仕方ないとしても、何もイギリスという外国まで行って、アメリカの恥をヒレキしてまで稼ぐのは、悪乗りにしか写らず、ここまでやればしたたかな女としか言い様がなく、彼女への同情票は少ないようです。テレビ出演や出版は、連邦大陪審でかかった、膨大な弁護士代を出演料や印税で、稼ぐのが目的でなされたようですが、それでも彼女には相当のオツリが入ってきて、一件落着のこのスキャンダルで、大儲けするのは、モニカ・ルインスキーと、その弁護士とメディア業界ということになります。「風が吹いたら桶屋が儲かる」の落語の世界は、西暦2000年を迎えようとしている現代でも、起こっていると言うことでしょう。そして、ポーラ・ジョーンズへの和解金や、弾劾裁判の時の弁護士代などの工面ができずに困っているのが大統領です。一国を仕切っている大統領が、自分の財布の中を仕切れずに、最も金銭に困っているのが大統領なのも皮肉なものです。我々庶民といえども「身から出たサビ」の無いよう、人生の歩み方には、ゆめゆめ気をつけたいものです 。 |