| 脳死による臓器移植第1号が、日本でやっと実施され、日本の医学界に歴史的足跡を残したのは、つい先ごろですが、すでに臓器移植の歴史の長い、臓器移植先進国のアメリカでは、移植のために提供される、臓器の分配をめぐって、米国政府と各州の対立が、目立っているとの報道をしております。 アメリカでは年間2万件もの、なんらかの臓器移植が、行われているといわれております。人々の移植に対する意識が、当たり前になったために、臓器提供者(ドナー)からの、臓器提供を待っている患者は、61000人もいて、需要と供給のバランスでは、供給不足が際立っているのが現状のようです。 アメリカでは1984年に臓器分配の法規制を定め、地元優先に基ずくシステムで、分配が実施されていますが、臓器搬送の地域割制や搬送先決定の、優先順位のつけ方などに、著しい不均衡がみられるとの、不満が上がっております。この法律に基づき移植を実施すると、病院や臓器移植斡旋機関の利害や確執などがからまり、1件の移植手術に25万ドルもかかるケースも生じているとのことです。臓器移植のためにアメリカに来る、日本からの移植患者なども、高額な手術代金を支払うために、外国からの患者でありながら、移植の順番にうまく割り込むことができる訳で、長年順番待ちをしている、地元患者からの反感をかうことも、避けられないでしょう。 このように従来、基本的には地元優先となっていた、臓器搬送決定方法ですが、1998年春にシャレーラ厚生長官が『地理的距離に関係なく、重病の患者優先とする』ことを改めて、これを連邦政府規則として定めたので、州と連邦政府の問題が、複雑に絡み合ってきたのが、事の起こりです。 この連邦政府規則が定まって以来、ルイジアナ州やオクラホマ州など他の五つの州が、提供された臓器が地元の患者に優先的に役立つようにとの目的で、『州境を越える臓器搬送を禁止する』との州法を制定したのです。このように、州独自の州法を定める州が相次いで、今後も他州が同じ方向への立法に、追従するような雲行きです。地元州民の利益を重んじ、この立法を定めた州政府と、移植を受けられる機会を、国民の全てに均等化を目標にしている、連邦政府とのあつれきが、このところ顕著になってきて、この対立はますます激化しているとのことです。 臓器移植の現状は、臓器提供者を待つ患者が圧倒的に多く、移植を希望する患者の多い大都市や大病院ほど、順番待ちの待機に要する日数が長い傾向にあり、地域割りのひずみから、近距離でも臓器提供を受けられないこともしばしばとのことです。 日本でやっと始まった、脳死臓器移植ですが、将来、臓器分配に関して、他県と争い合ったり、病院間と争奪戦の兆候が見えるようになれば、皮肉にも臓器移植が根付いたと、見ていいのでしょうけれど、臓器分配の法制化を今の内にしっかりと定めておかないと、この問題は尊い命が主題だけに、見苦しい争いは、避けたいものですが、臓器の分配をめぐる問題は、日本でも将来は起こり得ることでしょう。 |