「XPアンチプラクティスを探る」ワークショップ参加レポート
これは2003年12月16日に開催された、永和システムマネジメントのオブジェクト倶楽部主催「クリスマス企画 オブジェクト指向実践者の集い」の中の、ワークショップの部分の参加レポートです。
今回はワークショップどれにしようかずいぶん迷った(どれも魅力的)のですが、倉貫さんの「XPアンチプラクティスを探る」に参加しました。じつはウチの会社の人間が5人もまとめて参加しちゃったんですが…。
事前にJavaDeveloper記事とXPアンチプラクティスを予習してからの参加です。
1.プレゼンテーション
倉貫さんから、自社でのXP成功事例と、アンチプラクティスの簡単な紹介がある。
- 基幹系で高品質が求められ、しかも開発期間が短い。
- 状況を鑑みて、XPでやるしかない!
- 会議のやり方を工夫して、フィードバックを潤沢に得られるようにした。
→受け入れに全員参加、イテレーションごとの反省会(フラッシュバックセッション)、コード読み合わせ(カバーリングセッション)、など
- 積極的にプラクティスをカスタマイズした。
→例) 「ぬかドコ」…コードが古びて腐らないように、毎日かきまぜる。
- 従来の開発手法では絶対無理な期間で、無事完成。
→1月リリースだったのに、全員年末年始休暇を取れた。(思わず拍手)
アンチプラクティス…XPプロジェクトに忍び込んできて症状を発現する、病気のようなもの。原因を突き止めて正しい処方で対応すれば理想的な状態に戻せる。
2.チームごとのディスカッション
ここで、全体を10人前後の3チームに分けて、それぞれでディスカッション。テーマは、新しいアンチプラクティスの発見や、既存のアンチプラクティスの検討など。
うちは第3チームとして、平鍋さんと田中さんがついてきてくれる。
場所が狭くて声も通らないので、平鍋さんの提案で廊下に移動。
ここでの議論の経過は、こっちにまとめました。
うちのチームが出したアンチプラクティスは、こんなものです。
Newアンチプラクティス「あんぱんまん」
| 名前 |
あんぱんまん(ばいきんまん) |
| 背景 |
プロジェクトのドライブができていない。 |
| 症状 |
タスクを自発的に受け入れない。残るタスクがある。 |
| 原因 |
タスクが終わらなかったらどうしようという不安感。 |
| 理想 |
全員が怖がらずにタスクを取る。 |
| 処方 |
- 信頼でき、うまくいかなかった場合に必ず助けてくれるあんぱんまん(コーチ)を連れてくる。
- タスクを重くならない程度にはじめから分割する。
|
※ここのテーブルの書式は、Object GardenのXPアンチプラクティスを真似しました。
ディスカッション成果発表
3つのチームがそれぞれ、ディスカッションの成果を発表した。わたしは発表担当だったので、他チームの発表をほとんど聞かずに発表の準備をしてました…。他チームのディスカッション・発表の内容をぜひ教えてくださーい。
以下、個人的な感想。
- XPにある程度の興味があったのが成功の一原因かも。
- 今回のイベントでも感じたが、みんなが期待感をもって集まっているところにオープニングを「どーん」とやると、とても熱気のある良い会になりやすい。開始前に期待感をいかに高めるか、というところからすでにファシリテーションは始まっている。
- アンチプラクティスは「成人病」である。ってことは、はしかやおたふく風邪みたいに、大人になるまでに必ずかかる病気ってのもあるのかな?
- 場所が狭くて他のワークショップと声が錯綜して、聴きにくいのが残念。
第3チーム(平鍋組)のディスカッション内容
以下、議事録風のまとめ。
「重そうなタスクカードを誰もとらない」ということがある。
これは19のプラクティスで言う「責任の受け入れ」と関係がある。
原因として考えられること:
- 他の人(デキる人)がとるだろうと思っている。
- 取ることに対する「不安感」がある。
→「責任を背負い込んで、もし遅れてしまったらどうしよう」
その背景は?:
- プロジェクトが遅れているから、自分のせいでさらに遅れることに不安感がある。
→うまくドライブできていない。
どうしたらいいのか(対処法):
- PMが強制的にアサインしてしまう。
→それってうまくないよね。
- 不安感を取り除く。
→遅れそうになったとき、助けてくれるヒーローがいれば。
→それって「あんぱんまん」じゃないですか。
→「あんぱんまん」って平仮名だっけ?
- 助けてくれる人は、いつでも余裕があるとは限らない。
→でも、そばにいるだけで「安心感」を与えることができる。不安を取り除く効果があるはず。
- 重くならない程度にタスクを分割する。
アンチプラクティスの表にまとめる。
- 名前が「あんぱんまん」だとアンチっぽくない。
→「ばいきんまん」→意味不明。
「反省会のときに、この作業(アンチプラクティスをまとめること)をやればいいんだ!」という意見。
その後、あまり時間がないのでこれ以上アンチプラクティスをまとめるのはあきらめ、お気楽モードに移行。
「いちどにたくさんのプラクティスを導入すると、うまくいかない」
→「プラクティス・オーバーフロー」
メタファ:
- すでにいっぱいのコップに水をザバッと入れると、大量にこぼれる。
- スポーツで、いちどにまとめてあれこれ指摘されると、意識しすぎてかえってうまくいかない。
- 植木に肥料を入れすぎると、枯れてしまう。
対処法:
- 少数のプラクティスだけ導入すれば。
→「インクリメンタル・ベスト3」
→ベスト3を外部から指摘すると、「ここがダメ」というワースト3になってしまう。
→気づかせることが大事。
→気づけば、自発的に選択できる。
- チームにXP経験者を集める。
→Cockburnが「強いチームには上手なプレイヤーがいる」と言っている。
自発的に選択、から発展。
- 慣れていないと場が緊張して、誰も発言しないことってあるよね。
→講演などのパターンとして、質問時間に
「最初に質問するサクラ」というものがある。
→誰かが質問したあとだと、質問しやすくなる。
→プロジェクトの反省会で、やはりサクラを仕込むことがある。
→それって「呼び水」みたいですね。
→自発性を発揮させるキッカケ。
このへんで時間終了。机とベンチを戻して会議室に戻る。